よ た し の き

書食系男子のブログ

『書きあぐねている人のための小説入門』(保坂和志)

普通の小説入門かと思ったら、違った。 「普通の」とは何なのか自分でもよくわからないが、とにかくこの小説入門は、読んでいて「面白かった」。そこが普通ではない。 この本は、(文中でも何度も言われているが)小説を書くテクニックを伝授するようなもの…

『思い出す事など』(夏目漱石)

死に瀕した筆者自身の回想録であるから、内容はすこぶる重苦しい。 だが私の心に一番強く残ったのは、高等遊民夏目漱石の「意外に人間味あふれる一面」であった。 色々引用したいところはあるが、あまりやり過ぎると全体の分量が馬鹿みたいなことになるので…

『辞書はジョイスフル』(柳瀬尚紀)

言葉が大好きな人間が書いた文章は、やはり読んでいて楽しい。 私自身は、ありもしない日本語を次から次と創造するという所業にはいささか抵抗があるほうなのだが、ジョイスの作品やそれを訳した柳瀬氏の作文を覗いていると、なんだかそういう日本語との付き…